Global History Seminar no. 94
Time & Date: 16:30 -18:30 (JST) Friday 4 Dec 2020
Hybrid Venue:
1) Meeting ID: 881 9209 5665
2) The main conference room, Level 2, Graduate School of Letters, Osaka University (大阪大学文学研究科 大会議室)
Language: Japanese/ 発表言語:日本語
Speaker/発表者:
Kazushi Minami 南 和志
(Associate Professor, Osaka School of International Public Policy, Osaka University 大阪大学大学院国際公共政策研究科)
Title:
People's Diplomacy: The Transformation of U.S.-China Relations in the Cold War
冷戦変容期における米中人民外交の展開
要旨/Abstract:本研究は、冷戦変容期(1970 年代)、アメリカと中国が非国家アクターを通じて非公 式な外交関係を構築した過程、すなわち「人民外交」の展開を明らかにするものである。 1972 年のニクソン大統領訪中に代表される米中接近に関しては、政府間の外交交渉に焦点 を当てた研究が多く、非国家アクターの役割はほとんど注目されてこなかった。しかし、 1949 年の中国共産党革命以来 20 年にわたり対立し、交流が寸断されてきた両国にとって、 外交交渉のみにより信頼関係を回復することは不可能であった。そこで、米中政府は非国家 アクターを利用し、経済・文化・教育の様々な分野で交流活動を活発化させることで、両国 関係の改善を図った。本研究は、米中両国の幅広い史料を用い、これまで主に政府間外交の 枠組で論じられてきた冷戦期米中関係の変容を、人民外交という新しい視点から再考する ものである。
登壇者紹介
現代アメリカ—東アジア関係を、歴史的観点から研究しています。外交史研究は主に政治家、外交官及び軍部を分析対象としますが、私の研究は、これまで注目されていなかった非国家アクターの役割を明らかにすることで、現代東アジア国際関係への理解を深めることを目標にしています。
現在はPeople’s Diplomacy: Non-State Actors and the Transformation of U.S.-Chinese Relations in the Cold Warというタイトルの本を執筆中です。この本はアメリカと中国の史料を利用し、冷戦後期の米中関係再構築を分析するものです。その際、「人民外交」、すなわち、非国家アクターが独自に、もしくは国家の庇護の下、他国とインフォーマルな関係を構築する外交過程に焦点を当てます。
最近Diplomatic Historyに掲載された論文では、1970年代の米中関係における石油の役割を分析しました。そこでは、東シナ海・南シナ海の巨大海上油田という神話が、両国のパートナーシップ形成に貢献したことを立証しました。また、今秋The Journal of Women’s Historyに掲載予定の論文では、主流派である男性の視点とは異なる、アメリカ人女性の声から、冷戦時代の米中関係を再考しました。そして、彼女たちが中国を、共産主義の敵国としてではなく、アメリカ社会に蔓延する不平等や不正義を克服した社会として、描いていたことを明らかにしました。
Bio in English: Here